冗長性への賛歌

冗長性への賛歌は、人間賛歌。

冗長性を大切に - そのまえに冗長性って何? -

みなさんは 冗長性 (redundancy) という言葉を聞いたことがありますか?

日常で何かが「冗長」だという時は、話が無駄に長いとか、だらだらしている状態を指したりしますね。

しかし、ITの文脈で「冗長性」というと、予備のサーバーやハードディスクを用意するといったように、システムの信頼性を高めるために大切な概念として扱われています。

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ITだけでなく、例えば、電力や鉄道などの社会インフラをストップさせないためにバックアップの仕組みを用意することも、良い意味での冗長性です。

エンジニアリングで意識される冗長性は意図的に構築するものですが、私たちの日常のコミュニケーションにも冗長性は深く埋め込まれています。

例えば、「ありがとうございました」と言う場面をひとつとってみても、多くの冗長性が隠されています。

周りがうるさくて「あ...ざ...した」という感じにしか聞こえなくても、お礼を言われたんだ、ということは分かりますよね。全く何も聞こえなくても、レジでお金を払った後相手が笑顔で自分の方を向いて頭を下げていたら、状況的にお礼をされたことが伝わります。

ありがとうございました」と発するのに、2秒くらいかかりますが、よく使う言葉だから2秒もかけるのはもったいない、と思ったとしましょう。(そんなに短気な人はいないと思いますが...あくまで一例です)さらに、頭を下げる動作もめんどくさいし、笑顔を作るのも正直疲れるから、

 「あ」と言葉を発するだけで、感謝の意を表す

と決めると、メッセージを伝えるには最も効率的です。ですが、「あ」という声が聞こえないと全く意味が伝わりません。もし「ば」と聞こえてしまって、さらに「ば」が「バカじゃないの?」という意味を表していたら、大変なことになります。

このように、メッセージの伝達からすると余分な情報(=冗長性)が「ありがとうございました」と言う場面に多く含まれていて、それがいろんな状況でお礼を正しく伝えられる、という信頼性を担保しています。

 

このブログでは、そんな冗長性にまつわることや、効率性だけでは語れないけど世界を豊かにしていくものについて、なんとなく書いていきたいと思います。